加入中の保険契約、証券の見方・活かし方:ご自身の保障内容を確認するために
加入中の保険契約、証券の見方・活かし方:ご自身の保障内容を確認するために
現在加入している保険契約について、具体的にどのような保障内容になっているか、すぐに説明できるでしょうか。忙しい日々の中で、保険証券を見返す機会は少ないかもしれません。しかし、ご自身の保険契約が現在のライフステージや状況に合っているかを見極めるためには、まずご自身の契約内容を正確に把握することが第一歩となります。
この記事では、保険証券の基本的な見方と、ご自身の保障内容を確認するために注目すべきポイントについて解説します。
なぜ保険証券を確認することが重要なのか
保険証券は、保険会社とご契約者との間で成立した保険契約の内容を証明する重要な書類です。この一枚の書類に、どのような保障が、いつまで、いくらで、誰のために準備されているのか、といった重要な情報が詰まっています。
保険証券を確認することは、以下の点において非常に重要です。
- ご自身の保障内容を正確に理解するため: 加入時に説明を受けた内容と、現在の契約内容にずれがないか、またご自身の現在のニーズに合っているかを確認できます。
- 無駄な保障や不足している保障がないか見極めるため: 現在の生活状況や家族構成、会社の福利厚生、公的な保障などを踏まえ、加入している保険が過不足なく、必要な保障をカバーできているかを確認する材料となります。
- 保険料負担の根拠を理解するため: 毎月あるいは毎年支払っている保険料が、どのような保障に対して支払われているのかを把握できます。
ご自身の保険契約が「必要か不要か」を判断するためには、まず「どのような契約内容か」を知ることから始まります。保険証券は、そのための最も基本的な情報源と言えるでしょう。
保険証券の主な記載項目と確認ポイント
保険証券の形式は保険会社や商品によって異なりますが、一般的に以下のような項目が記載されています。これらの項目を確認することで、ご自身の契約の全体像を把握することができます。
1. 契約者、被保険者、保険金(給付金)受取人
- 契約者: 保険会社と契約を結び、保険料を支払う方です。
- 被保険者: 保障の対象となる方です。この方の死亡や病気、ケガなどによって保険金や給付金が支払われます。
- 保険金(給付金)受取人: 保険金や給付金を受け取る方です。
これらの人物が、ご自身の現在の意図と合致しているかを確認しましょう。特に受取人は、ご自身の万が一の際に経済的に支えたい方になっているかが重要です。
2. 保険会社名、保険の種類、契約番号
- 保険会社名: 契約している保険会社名です。問い合わせの際に必要になります。
- 保険の種類: 生命保険、医療保険、がん保険、個人年金保険など、契約している保険のタイプが記載されています。
- 契約番号: ご自身の保険契約を一意に特定するための番号です。問い合わせや各種手続きの際に必要となります。
3. 主契約と特約
- 主契約: 保険契約の根幹となる保障です。例えば、死亡保険における死亡保障、医療保険における入院・手術保障などです。
- 特約: 主契約に付加して、保障内容を拡充したり、別の保障を追加したりするものです。特定の疾病に対する保障や、先進医療に対する保障などが特約として付加されている場合があります。
どのような主契約があり、どのような特約が付いているかを確認することで、ご自身の保険が具体的にどのようなリスクに対応しているのかが分かります。よく理解できない特約が付いている場合は、それが現在の自分にとって本当に必要か検討する材料になります。
4. 保険期間と保険料払込期間
- 保険期間: 保障が有効な期間です。例えば「終身」(一生涯)や「〇年満期」(一定期間)といった記載があります。
- 保険料払込期間: 保険料を払い込む期間です。「終身払込」(保険期間中払い続ける)や「〇歳払済」(特定の年齢や期間で払い終える)といった記載があります。
いつまで保障が続き、いつまで保険料を支払う必要があるかを確認することで、将来の保険料負担の見通しを立てることができます。
5. 保険金額と給付金額
- 保険金額: 死亡保険などで、被保険者が亡くなった場合に受取人が受け取る金額です。
- 給付金額: 医療保険などで、入院や手術、特定の疾病などで受け取れる金額です。入院給付金は「日額〇円」、手術給付金は「一回につき〇円」または「入院給付金日額の〇倍」といった形で記載されています。
これらの金額が、ご自身の万が一や病気・ケガの際に必要とされる金額として適切かを確認します。多すぎれば保険料負担が大きくなり、少なすぎれば必要な備えにならない可能性があります。
6. 保険料
毎月または毎年支払う保険料の金額です。主契約と特約それぞれの保険料が内訳として記載されている場合もあります。ご自身の家計における保険料負担が、得られる保障内容に対して妥当か、他の支出とのバランスを見て検討する際の基礎情報となります。
7. 配当金、解約返戻金など
契約の種類によっては、配当金に関する情報や、契約を解約した場合に戻ってくる可能性がある解約返戻金について記載がある場合があります。これらの項目は、貯蓄性のある保険などで確認が必要です。
保険証券を確認する際のチェックリスト
多忙な中でも効率的に確認を進めるために、以下のチェックリストをご活用ください。
- □ ご自身の保険証券がどこにあるか把握していますか
- □ 保険証券に記載されている契約者、被保険者、受取人は現在の状況と一致していますか
- □ 主契約と特約で、どのような保障内容になっているか理解できますか(死亡時、病気、ケガ、特定の疾病など、どのような状態になったらいくら受け取れるか)
- □ 保障がいつまで続くか(保険期間)把握していますか
- □ 保険料をいつまで支払うか(保険料払込期間)把握していますか
- □ 月々の保険料がいくらか把握しており、その金額が家計に対して妥当か確認していますか
- □ 保障内容について、不明な点や疑問点はありませんか
もし、上記のチェック項目に回答できない、あるいは理解できない点がある場合は、保険契約の内容を十分に把握できていない可能性があります。
保険証券を確認した後のステップ
保険証券を確認し、ご自身の契約内容がある程度把握できたら、次のステップとして現在のライフプランやご自身の状況と照らし合わせてみましょう。
- 結婚や出産、住宅購入、お子様の独立など、ライフイベントに変化はありましたか
- 転職や独立により、会社の福利厚生や公的な保障内容に変化はありましたか
- 収入や貯蓄状況に変化はありましたか
- 将来に対する考え方や、必要な備えに対する考え方に変化はありましたか
保険証券で確認した保障内容が、これらの変化に対応できているか、あるいは過剰になっていないかなどを検討します。保障が不足していると感じる場合や、反対に必要以上に手厚くなっていると感じる場合、あるいは内容が複雑でよく分からない場合は、保険の見直しを検討するタイミングかもしれません。
ただし、保険の見直しは慎重に行う必要があります。安易な解約は、新たな保険に加入できないリスクや、解約返戻金が払込保険料を下回る元本割れのリスクを伴う場合があります。
ご自身の判断だけでは難しいと感じる場合は、中立的な立場からアドバイスを提供できる専門家などに相談することも一つの方法です。しかし、相談する前にご自身で保険証券を確認し、ある程度現状を把握しておくことは、より有益な相談につながるでしょう。
まとめ
ご自身がどのような保険に加入しているかを知ることは、現在の保険契約が必要か不要かを見極めるための出発点です。まずはご自宅にある保険証券を探し出し、この記事で解説したポイントに沿ってご自身の保障内容をご確認ください。
全ての記載内容を完璧に理解する必要はありませんが、ご自身の保障の全体像を掴むことが大切です。もし不明な点があれば、保険会社に問い合わせるなどして確認することをおすすめします。
ご自身の保険契約に対する理解を深めることが、漠然とした不安を解消し、本当にご自身に必要な保障を見つけるための一歩となるでしょう。