保険の見直し、まずココを確認：自分でできる簡単チェック
現在の保険契約、見直しの第一歩を踏み出すために
ご自身の保険契約について、漠然とした不安を感じたり、「このままで良いのだろうか」とお考えになったりすることはないでしょうか。保険は長期にわたる契約であり、社会環境やご自身のライフステージの変化によって、必要とされる保障の内容や金額も変わってくるものです。
しかし、保険の見直しには専門知識が必要そう、手間がかかりそう、といったイメージから、なかなか手を付けられずにいる方も少なくないかもしれません。多忙な日常の中で、時間をかけて保険について調べるのは大変なことでしょう。
この記事では、そのような方が「まず何から始めれば良いのか」を明確にするための、自分でできる保険見直しの「最初のステップ」と「確認すべきポイント」を分かりやすくご紹介します。特定の保険商品を推奨するものではなく、ご自身で現状を把握し、次のアクションを考えるための材料としてご活用いただければ幸いです。
保険見直しの「まずココ」とは
保険を見直す際に、いきなり新しい商品を探したり、保険会社に相談したりする必要はありません。最も重要な第一歩は、「ご自身の現在の状況を知ること」です。具体的には、以下の3つのポイントを押さえることから始めましょう。
- 現在加入している保険の種類と保障内容
- ご自身の現在のライフステージや家族状況
- 会社からの保障や公的な制度による保障
これらを整理することで、今の保険契約が現在の自分にとって「十分か」「過剰か」「合っていないか」を判断する基本的な材料が揃います。
自分でできる簡単チェックリスト
では、上記の3つのポイントについて、具体的にどのように確認すれば良いのかを見ていきましょう。ご自身の状況と照らし合わせながら、一つずつチェックしてみてください。
チェック1：現在加入している保険の種類と保障内容を確認する
まずは、現在ご自身がどのような保険に加入しているかを確認します。これを知るために最も役立つのが、保険会社から送られてくる保険証券です。保険証券には、契約している保険の種類、保険期間、保障される内容、保険金額、保険料などが記載されています。
- 保険証券を用意できますか
- 保険証券が見当たらない場合、保険会社に連絡すれば再発行してもらえることがほとんどです。
- 加入している保険の種類は何ですか
- 例：生命保険（死亡保険）、医療保険、がん保険、学資保険、個人年金保険、自動車保険、火災保険など。
- 「生命保険」は、被保険者が死亡または高度障害になった場合に保険金が支払われるものです。「医療保険」は、病気やケガで入院や手術をした場合に給付金が支払われるものです。「がん保険」は、がんと診断されたり、がんで治療を受けたりした場合に給付金が支払われるものです。ご自身の契約がこれらのうち、どの種類に該当するかを確認します。
- どのような場合に保障（保険金や給付金）が支払われますか
- 契約内容によって、保障される条件（例：入院5日以上、手術の種類、特定の病気など）が異なります。ご自身の保険がどのようなリスクに対応しているかを確認します。
- 保障される金額はいくらですか
- 死亡保険金、入院日額、手術給付金など、それぞれの保障について、いくら支払われる可能性があるかを確認します。
- 保険期間（いつまで保障されるか）は確認できますか
- 契約が終身なのか、特定の年齢までなのか、期間が決まっているのかなどを確認します。
これらの項目をざっくりと把握するだけでも、ご自身がどのような保険に加入しているかの全体像が見えてきます。専門用語が難しいと感じる場合は、完全に理解しようとせずとも、まずは「何に関する保険で、いくらくらい保障される可能性があるのか」といった大枠を捉えることを目指しましょう。
チェック2：ご自身の現在のライフステージ・家族状況の変化を確認する
保険は、ご自身の人生におけるリスクに備えるためのものです。そのため、ご自身の状況が変化すれば、必要な保障も変わってくる可能性があります。
- 結婚や離婚をしましたか
- 配偶者の有無は、必要な死亡保障額などに影響します。
- お子さんが生まれましたか、または独立しましたか
- 扶養する家族の人数や年齢によって、必要な保障額が大きく変わります。学資保険や死亡保障の必要性などを考えます。
- 住宅を購入しましたか、または引っ越しをしましたか
- 住宅ローンを組む際に加入する団体信用生命保険によって、死亡保障の必要性が変化することがあります。また、持ち家か賃貸かで必要な保険（火災保険など）の種類も異なります。
- ご両親の介護が必要になりましたか
- ご自身の介護だけでなく、親の介護に対する経済的な備えの必要性を考えるきっかけになります。
- 働き方や収入に大きな変化がありましたか
- 自営業になった、転職した、収入が大きく増減したなど、働き方や経済状況の変化も保障の必要性に影響します。
これらのライフイベントは、ご自身の責任範囲や経済状況を変化させます。加入当初の保険契約が、現在の状況に合っているかを確認する上で非常に重要な視点です。
チェック3：会社からの保障・公的な制度を確認する
多くの会社員の方は、健康保険や厚生年金といった公的な社会保障制度に加入しています。また、会社独自の福利厚生として、団体保険などが用意されている場合もあります。これらの保障も、ご自身の万が一に備える上で重要な要素です。
- ご自身の健康保険の種類は何ですか（例：協会けんぽ、組合健保など）
- 日本の公的医療保険には高額療養費制度があり、医療費の自己負担には上限が設けられています。この制度があるため、医療費の全額を自己負担するわけではありません。ご自身の健康保険制度がどのような保障を提供しているか、概要を把握しておきます。
- 厚生年金や国民年金に加入していますか
- これらの制度には、被保険者が死亡した場合に遺族に支払われる遺族年金や、病気やケガで障害状態になった場合に支払われる障害年金といった保障が含まれています。これらの公的保障の内容も、必要な死亡保障額や障害に対する備えを考える上で考慮すべき点です。
- 勤務先に独自の福利厚生や団体保険はありますか
- 会社によっては、病気やケガで仕事を休んだ場合の傷病手当金の給付期間が長かったり、割安な保険料で加入できる団体保険があったりします。会社の就業規則や福利厚生に関する資料を確認してみましょう。
これらの公的保障や会社の保障は、ご自身が既に持っている「見えない保険」のようなものです。これらの内容を把握しておくことで、個人で加入している保険と重複している部分がないか、あるいは公的保障だけでは不足する部分があるかなどを判断する材料になります。
チェック結果から考える：次のステップへのヒント
上記の3つのポイントをチェックしてみて、いかがでしたでしょうか。
- 加入している保険の種類や保障内容が、現在のライフステージや家族状況、公的保障と照らし合わせて「合っていないかもしれない」と感じた場合
- 保険証券を見ても、保障内容や期間がよく理解できなかったという場合
- 今の保険料負担が家計にとって重いと感じている場合
このような場合は、現在の保険契約の見直しを検討する価値があるかもしれません。
この簡単なチェックリストは、あくまで見直しの「入口」です。このチェックで「見直しが必要かもしれない」と感じたら、次に具体的にどのようなリスクに備えたいのか、必要な保障額はいくらか、といったことをさらに詳しく検討していくことになります。
まずは現状把握から始めましょう
保険の見直しは、難しく考える必要はありません。まずは、ご自身の「今の状況」を把握することから始められます。今回ご紹介したチェックリストは、そのための最初の一歩となるはずです。
ご自身の保険契約、ライフステージ、そして公的な保障。これらを整理することで、現在の保険が必要か不要か、あるいは見直しが必要かを判断するための確かな手がかりが得られます。
もし、ご自身での判断が難しいと感じる場合は、ファイナンシャルプランナーのような専門家に相談することも一つの方法です。この記事が、ご自身の保険との向き合い方を考えるきっかけとなれば幸いです。