加入中の保険、タイプ別の見直しポイントとは:生命保険、医療保険など
保険契約は一度加入すると、そのままにしている方も少なくないかもしれません。しかし、時間の経過とともにご自身の状況は変化し、必要とされる保障内容も変わってきます。現在加入している保険契約が、今の状況に合っているのか、そして将来も適切であるかを見極めることは重要です。
この見極めを行う上で役立つのが、保険のタイプごとの特徴と、それぞれの見直しにおける判断基準を知ることです。ここでは、代表的な保険タイプごとに、どのような点に着目して見直しを検討すべきかをご説明します。
保険見直しの共通の考え方
保険を見直す際に共通して重要なのは、以下の3点です。
- 現状の把握: 現在のご自身の年齢、家族構成、収入、資産状況、住宅ローンなどの負債状況などを整理します。
- 将来予測: ライフプラン(子供の進学、独立、自身の定年退職など)や起こりうるリスク(病気、ケガ、死亡など)を想定します。
- 公的保障の確認: 万が一の際に受けられる公的な保障制度(例: 健康保険の高額療養費制度、遺族年金、傷病手当金など)の内容を把握します。
これらの情報を踏まえた上で、民間の保険で備えるべき範囲や金額を検討します。公的な保障でカバーされる部分を知ることは、不要な保障を削減し、保険料負担を抑える上で非常に重要です。
保険タイプ別の見直しポイント
ご自身が加入している保険の種類に応じて、以下の点をチェックしてみましょう。
生命保険(死亡保険)
生命保険は、被保険者が死亡または高度障害状態になった場合に、遺族などが保険金を受け取る保険です。見直しでは、主に以下の点を考慮します。
- 必要な死亡保障額: 遺された家族の生活費、子供の教育費、葬儀費用、住宅ローンなどの負債清算に必要な金額を総合的に考えます。子供の成長、住宅ローンの減少など、時間の経過とともに必要な保障額は変化する傾向があります。
- 保険期間: 終身保険(保障が一生涯続く)か、定期保険(一定期間のみ保障)か、またはその組み合わせかを確認します。必要な保障期間が限定的なのか、一生涯にわたって備えたいのかによって、適した保険期間は異なります。
- 貯蓄性: 貯蓄機能があるタイプ(養老保険、終身保険など)か、保障に特化したタイプ(掛け捨ての定期保険など)かを確認します。貯蓄目的であれば、他に有効な資産形成手段がないかも合わせて検討します。
医療保険
医療保険は、病気やケガで入院・手術をした際に、給付金を受け取る保険です。見直しでは、主に以下の点を考慮します。
- 公的医療保険との兼ね合い: 日本には高額療養費制度という公的制度があり、医療費の自己負担には上限があります。この制度でカバーしきれない部分(差額ベッド代、先進医療にかかる費用の一部、入院中の食費など)や、働けない間の収入減を補う目的で医療保険の必要性を検討します。
- 高額療養費制度:医療費の自己負担額が、ひと月(同じ月内)で上限額を超えた場合に、その超えた額が支給される制度です。所得によって自己負担の上限額は異なります。
- 給付内容: 入院給付金の日額や支払限度日数、手術給付金の対象範囲や給付倍率、先進医療特約の有無などを確認します。日帰り入院や短期入院への対応、入院一時金の有無などもチェックポイントになります。
- 保険期間: 終身タイプか、定期タイプかを確認します。医療技術の進歩や将来の公的医療制度の変化なども考慮に入れ、長期的な視点で保障が必要か検討します。
がん保険
がん保険は、がんと診断された場合や、がんの治療のために給付金を受け取る保険です。見直しでは、以下の点を考慮します。
- 診断給付金: がんと診断された際に一時金を受け取れるか、複数回受け取れるかなどを確認します。診断一時金は、治療費だけでなく、当面の生活費や先進医療の費用などに充てることが可能です。
- 治療内容に応じた給付: 手術、放射線治療、抗がん剤治療など、具体的な治療内容に応じた給付金があるか確認します。通院治療に対する保障なども重要なポイントです。
- 公的保障との兼ね合い: 医療保険と同様、高額療養費制度や傷病手当金などの公的保障でカバーできる範囲を確認し、がん保険で備えるべき範囲を検討します。
就業不能保険(所得補償保険)
就業不能保険は、病気やケガで長期間働けなくなった場合に、収入の減少を補う保険です。見直しでは、以下の点を考慮します。
- 公的保障との兼ね合い: 会社員であれば傷病手当金(最長1年6ヶ月程度、給与の約3分の2)や、障害年金といった公的保障があります。これらの公的保障でカバーできない期間や金額を補う目的で必要性を検討します。
- 傷病手当金:健康保険の加入者が、業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事に就くことができず、連続して3日以上休んだ場合に、4日目以降から支給される手当です。
- 保障期間と免責期間: いつまで保障されるか(例: 60歳まで、65歳まで)、そして、働けなくなってから何日経過後に給付金が支払われ始めるか(免責期間、例: 60日、180日)を確認します。
チェックリストによる自己診断
ご自身の加入している保険契約について、以下のチェック項目を参考に、現状に合っているか確認してみましょう。
- 生命保険
- □ 必要な死亡保障額は、現在の家族構成や負債状況に合っているか
- □ 保険期間は、将来のライフプラン(子供の独立など)に対して適切か
- □ 貯蓄性のあるタイプの場合、他の資産形成手段と比較して適切か
- 医療保険
- □ 公的医療保険(高額療養費制度など)でカバーできない費用をどの程度備えたいか明確か
- □ 入院給付金の日額や支払限度日数は、想定する入院に対して適切か
- □ 手術、先進医療など、希望する給付内容が含まれているか
- がん保険
- □ 診断一時金の金額は、一時的な収入減や治療開始時の費用として適切か
- □ がんの治療方法(手術、抗がん剤、放射線など)に対応した給付が含まれているか
- 就業不能保険
- □ 公的保障(傷病手当金、障害年金)でカバーできない期間や金額をどの程度備えたいか明確か
- □ 保障期間と免責期間は、ご自身の年齢や貯蓄状況、想定するリスクに対して適切か
まとめ
現在加入している保険契約が、ご自身のライフステージや状況に合っているかを見極めるには、保険のタイプごとの役割と見直しポイントを理解することが第一歩です。ご自身の現状と将来を見据え、公的な保障も踏まえた上で、民間の保険でどこまで備えるべきかを検討することが、最適な保険選びにつながります。
ここでご紹介した情報は、ご自身で保険を見直す際の判断材料としてご活用ください。個別の保険契約や状況に関する具体的な判断については、ご自身の責任において行っていただくか、必要に応じて専門家にご相談ください。