加入中の保険、どのような状況変化で見直しを検討すべきか
あなたの保険、見直しを考える「状況変化」とは
多くの人が、一度加入した保険契約をそのまま維持し続けているのではないでしょうか。日々の忙しさや、保険の内容を詳しく調べる手間を考えると、ついつい見直しを後回しにしてしまいがちかもしれません。しかし、人生には様々な変化が訪れます。そして、その変化が、現在加入している保険が必要か不要か、あるいは保障内容が適切かどうかを見直す良い機会となることがあります。
では、具体的にどのような状況の変化があったときに、ご自身の保険契約について考えるべきなのでしょうか。ここでは、見直しを検討する主なきっかけとなる状況変化と、それぞれのケースでどのような視点を持つべきかについて解説します。
なぜ状況変化で見直しが必要になるのか
保険は、将来起こりうる様々なリスク(病気、怪我、死亡、失業など)に備えるためのものです。しかし、どのようなリスクに、どの程度備えるべきかは、その人の現在の状況や将来の計画によって異なります。
例えば、独身の頃に加入した保険と、家族が増えた後に必要となる保障は当然異なります。収入が増えたり、貯蓄が増えたりすれば、以前ほど保険に頼る必要がなくなるケースもあるでしょう。また、公的な保障制度や会社の福利厚生が変わることもあります。
つまり、保険は一度加入すれば終わりではなく、ご自身の人生の歩みや状況に合わせて、定期的に、あるいは変化があった都度、その必要性や内容が適切かどうかを確認していくことが重要です。
見直しを検討すべき主な状況変化
以下に、保険の見直しを検討するきっかけとなりやすい主な状況変化を挙げます。ご自身の状況に当てはまるものがあるか、確認してみてください。
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家族構成の変化
- 結婚、出産、子どもの成長、独立
- 親との同居や、親の介護が必要になった
- 離婚、死別など
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収入・資産状況の変化
- 昇進、転職、独立などによる収入の大きな変動
- 退職やセカンドライフへの移行
- 遺産相続や、不動産などの大きな資産を得た
- 住宅ローンを組んだ、完済した
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健康状態の変化
- 大きな病気を患った、健康診断で異常が見つかった
- 喫煙習慣をやめた、など健康状態が改善した
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働き方や生活習慣の変化
- リモートワークになった、通勤方法が変わった
- 危険を伴う趣味を始めた、やめた
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会社の保障・公的制度の変化
- 会社の福利厚生(団体保険など)の内容が変わった
- 健康保険や年金制度など、公的な保障制度の内容が改正された
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既存の保険契約の更新時期
- 加入している保険が更新時期を迎えた(保険料が上がることが多い)
状況変化ごとの見直しの視点
それぞれの状況変化があった際に、具体的にどのような点を考慮して保険を見直すべきか、いくつかの例を挙げます。
1. 家族構成の変化(結婚・出産など)
守るべき家族が増えた場合、ご自身に万が一のことがあった場合に、残された家族の生活を支えるための保障(死亡保障)の必要性が高まることが多いです。また、子どもの教育資金や、配偶者の生活費など、必要となる資金額も具体的に試算してみることが重要です。
逆に、子どもが独立したり、住宅ローンの支払いが終わったりした場合は、以前ほど高額な死亡保障が必要なくなる可能性があります。
2. 収入・資産状況の変化
収入が増えたり、貯蓄が十分にできた場合、万が一のリスクが発生しても、ご自身の資金で対応できる範囲が広がるかもしれません。その場合、保険で備えるべき金額(保障額)を減らすことや、場合によっては特定の保険が不要になることも考えられます。
逆に、収入が一時的に減った場合や、大きな支出(住宅購入など)があった場合は、自己資金だけでは備えきれないリスクに対して、保険の必要性を再確認することが求められます。
3. 健康状態の変化
健康状態が悪化した場合、医療保険やがん保険などの必要性を感じるかもしれません。ただし、健康状態によっては、新たな保険への加入が難しくなったり、保険料が高くなったりする場合があります。現在加入している保険の内容(給付金の支払条件など)が、今の健康状態や将来のリスクに対して適切かを確認することが重要です。
健康状態が改善した場合は、より有利な条件で新しい保険に加入できる可能性もあります。
4. 会社の保障・公的制度の変化
会社から提供される団体保険や、健康保険の高額療養費制度、遺族年金などの公的な保障制度は、万が一の際に非常に大きな支えとなります。これらの保障内容は、ご自身の状況や制度改正によって変化することがあります。ご自身やご家族が受けられる公的な保障や会社の福利厚生を正確に把握することで、民間の保険で準備する必要がある範囲を明確にすることができます。これにより、保険の重複を防ぎ、保険料の払いすぎを避けることにつながります。
あなたの状況を整理するためのチェックリスト
以下の項目にチェックを入れて、ご自身の状況に変化があったかどうかを確認してみてください。
- □ 結婚、または離婚した
- □ 子どもが生まれた、または子どもが独立した
- □ 親との同居を始めた、または親の介護が必要になった
- □ 収入が以前より大きく増えた、または減った
- □ 昇進、転職、独立、または退職した
- □ 貯蓄や資産がまとまって増えた、または大きく減った
- □ 住宅ローンを組んだ、または完済した
- □ 大きな病気を患った、または健康診断で指摘を受けた
- □ 会社の福利厚生や加入している団体保険の内容が変わった
- □ 公的な保障制度(健康保険、年金など)のニュースで気になる情報を見た
- □ 現在加入している保険の更新時期が近い
一つでもチェックが入った項目がある場合、それは現在の保険契約がご自身の状況に合っているかを見直す良いタイミングかもしれません。
まとめ:変化を「見直しのサイン」と捉える
保険の見直しは、必ずしも「解約する」「新しく加入する」といった具体的な行動に至るとは限りません。重要なのは、ご自身の人生や状況に変化があった際に、「今の保険で十分だろうか」「過剰な保障はないだろうか」と立ち止まって考えることです。
見直しを検討する状況変化は、あなたにとって現在の保険が必要か不要か、そしてその保障内容が適切かどうかを判断するための重要な「サイン」です。まずはご自身の状況を整理し、加入している保険の内容を改めて確認することから始めてみてはいかがでしょうか。その一歩が、将来の安心につながるはずです。